遺されたもの

ある日、高齢のお母様を亡くした知人の自宅を訪ねることがあった。そこで目にしたのは大量の着物。

喪服に晴れ着、普段着ほか、両手では数えきれないほどの着物が積み上げられていた。

どれもこれも、生前お母様がお持ちであったものらしい。残念ながらわたしとお母様では体格に差がありすぎる。そのうえどれも年代物でしみや虫食いが目立つ。

しかし、わたしは譲り受けても着ることができない着物を、結局引き取ってすべて車に積み込んだ。知人に、処分することができないから持って行ってほしいとたのまれたのだ。

知人にとっては、母親というごく身近な存在の人物が持っていたもの。思い入れや手に入れた経緯を知っている分、簡単に捨ててしまうには心苦しいのだろう。だからといって、着ることもできない大量のものを保管しておく場所もない。

結局わたしは持ち帰った着物を、趣味の手芸に使えそうなものをわずかに手元に残して、ほかは燃えるごみとして処分した。後々、着物をほどいてパッチワークにして額装にしてあげるなど、残す工夫をしたら喜んでもらえたかもしれないと思ったが、後の祭りであった。

もっというと、着物を売ることだってできたかもしれない(価値が高い着物があったかもしれない泣)

処分と言うと捨てると考えがちだけれど、色んな処分方法があることを知りました。

着物 処分